ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

演劇

「大きな声がうるさい」

日本/公演終了/演劇EXPO2018(玉井江吏香作、泉寛介演出) 田舎の畑の用地買収をきっかけに集まった家族の物語。大阪で開催されている演劇EXPOの公募企画「あんたの戯曲上演させてくれへん」の1演目です。作は愛媛の「Unitout」の玉井江吏香、演出は「baghd…

「非公式な恋人」

日本/公演終了/演劇EXPO2018(綾門優季作、坂本隆太朗演出) 女性専用都市となった東京に入ろうとする男。大阪で開催されている演劇EXPOの公募企画「あんたの戯曲上演させてくれへん」の1演目です。作は東京の「青年団リンク・キュイ」の綾門優季、演出は元…

「モノロオグ」

日本/公演終了/長久手文化の家(岸田國士作、藤島えり子演出) 別れの挨拶もなくいなくなった愛する人の部屋を訪れた女の独り言。文化施設のロビーにての無料上演です。 出逢いから現在までを脈絡なく垂れ流す45分程度の一人芝居。公共空間のフリースペー…

「Kokoro」

日本/公演中(マチネ)/べろべろガンキュウ女(小山都市雄作・演出) 夏目漱石の小説「こころ」を題材に、不器用に歪んだ恋愛の形を描く。今回で解散するという関西の若手劇団、初観劇。 冒頭の再現劇が長尺で、そこから自由な発想への扉を開くときには身体はお…

「search and destroy」

日本/公演中(ソワレ)/うんなま(繁澤邦明作・演出) 単語を印字した紙に囲まれた舞台で、情報社会そのものを演劇化した作品。劇団うんこなまず改め「うんなま」となった関西の劇団、久々の観劇です。 長く観ていなかったので変遷はわかりませんが、うんなまの…

「くじらの墓標2017」

日本/'17年公演(多演)/燐光群(坂手洋二作・演出) 捕鯨を生業とする家族の解体の物語。94年の初演以降世界各地で上演を重ねる燐光群初期代表作だとか。 漁の掟を破りバラバラになった兄弟。しばしば鯨は陸に打ち上げられ、それはまるで自殺としか考えら…

「陥没」

日本/'17年公演/Bunkamura+キューブ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出) 東京五輪を狙って複合型ホテルを開業した昭和の家族の物語。 ケラ作品とは思えない幸福な喜劇。本当にどうしてしまったのかしら。惚れたはれたの人情劇に、シェイクスピア『夏…

「トロイラスとクレシダ」

日本/'15年公演/世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター(W.シェイクスピア作、鵜山仁演出) トロイ戦争の一幕を描くシェイクスピア戯曲上演。 問題劇と呼ばれ上演機会の少ない作品だとか。描かれるのは愛だの恋だの、誇りだの名声だ…

「人工恋愛双曲線」

日本/公演中(マチネ)/少年王者舘(天野天街作・演出) 縁あって2度目の観劇。 感想は先日の日記参照(→id:totte:20171104)。

「人工恋愛双曲線」

日本/公演中(ソワレ)/少年王者舘(天野天街作・演出) 江戸川乱歩の師匠筋と呼ばれる作家・小酒井不木の生涯と作品世界が入り混じる。行政主催イベント「やっとかめ文化祭」と「少年王者舘」が共同製作した作品です。 ほとんど知られていない作家をしっか…

「こころ 先生の遺書」

日本/公演終了/ナゴヤ路上劇研究会(夏目漱石原作、葱玉悠翻案) 夏目漱石による小説「こころ」を野外劇として上演した作品です。初観劇。 路上劇を標榜するからに、セットも仕込み機材も何もなく、ただただ路上にあらわれるスタイル。ジャンルとしては朗…

「それからの街」

日本/公演中/愛知県芸術劇場(額田大志作、鳴海康平演出) 「ヌトミック」額田大志によるAAF戯曲賞受賞作を、審査員でもある「第七劇場」の鳴海康平が演出した作品です。 音楽的な作品と呼ばれる額田戯曲を観るのははじめてですが、その特徴を封印するかの…

「私のペットは食用牛」

日本/公演中(ソワレ/再演)/劇団蒼天の猫標識(いば正人作・演出) ペットとして牛が流通するパラレルワールドで、ペットショップに牛を買いに来た女の物語。名古屋の劇団、初観劇。 常識を静かに揺さぶってくる。我々が認識しているペットとは何か。仮…

「女の子は基本的にイケメンが好き。」

日本/公演中/野坊主(青山和樹作・演出) モテたい男たちの居酒屋トーク。「野坊主」初観劇です。 どうでもいい与太話をこれといって捻りなくみせる。だから、劇場ごと居酒屋にして観客を力ずくで引きずり込むという発想は悪くない。この作品は観客との間…

「アナウメ」

日本/公演中(初日)/廃墟文藝部(後藤章大作・演出) 妻に空いた穴を埋める男の話。「廃墟文藝部」の長編は初観劇です。 暗く静かな寓話。男が女の空いた穴を埋めたがるのは古事記の頃からの習慣なのかしら。でも何かしらの穴はみんな空いているんだろうな…

「今、心が折れない為の俺のやり方」

日本/公演終了(マチネ)/crashrush(石神禿作・演出)戦隊ヒーローものの作家の前に作品の登場人物があらわれ、心残りだったことを成し遂げていく。初観劇です。 徹頭徹尾キャラメルボックス風味で、ウジウジした男がありえない体験に背中を押されるスト…

「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―」

日本/公演中(ソワレ)/マームとジプシー(藤田貴大作・演出) 食卓を囲む日常と移り行く時間。10周年記念として、過去の短編などを再構築した作品だとか。 生まれ育った家は、みんなが"帰ってくる"ための大切な場所だった。親の死、取り壊される実家。経…

「色即是空で無様なお前」

日本/公演中(ソワレ)/なんだかんだクレイジー(TERU作・演出) 戦後すぐのドサクサにまぎれ、奇妙な因習の残る村を訪れた女衒の物語。初観劇。 語られる言葉が薄く、まず設定が見えてこない。そこには飢えも苦しみも快楽も情欲も生死の境もない。劇場の…

「シアンガーデン」

日本/公演中(ソワレ)/少年王者舘(虎馬鯨作、天野天街演出) 古い共同アパートの住人の話を軸に、各部屋の境目があやふやになっていく。劇作が天野天街ではない最新作です。 少年王者舘らしさはふんだんだし、もはや魔法のような役者出現には毎度感嘆す…

「サマータイムマシン・ブルース」

日本/公演中(マチネ)/妄烈キネマレコード(上田誠作、西尾武演出) 粗筋は過去の日記からどうぞ*1。「タイムマシン、無駄遣い」な傑作戯曲を名古屋の「妄烈キネマレコード」が上演したものです。 どうしようもなく暇な時間をもてあそぶモラトリアム期の…

「誰も喋ってはならぬ!」

日本/'16年公演/加藤健一事務所(フロリアン・ゼレール作、堤泰之演出) 長年探し求めていたレコードを聴きたい男のもとに、さまざまなトラブルが舞い込んでくるドタバタコメディ。 ただ至福の1時間を過ごしたいだけなのにことごとく邪魔が入るストーリ…

「月読み右近の副業」

日本/公演中(ソワレ)/劇団ジャブジャブサーキット(はせひろいち作・演出) メディアで活躍したあと隠遁生活をおくる占い師とそのもとに集まる人々。岐阜の劇団「ジャブジャブサーキット」最新作です。 SF風味のミステリーもの。ジャブジャブサーキット観…

「りゅう君のベイビー産んじゃってゴメンね…。​でもうちアンタのことメッチャ好っきゃねん。」

日本/公演中(初日)/がっかりアバター(坂本隆太朗作・演出) 関西小劇場で活動する劇作家が、座組の女優に手を出しながら劇作と対峙する。関西若手「がっかりアバター」初観劇です。 古事記やギリシャ悲劇から脈々と連なる演劇へのオマージュ。劇作=創造…

「野菜、キッチン、おとう」

日本/公演終了(千秋楽/再演)/劇団わに社(鰐塚わに作、林優演出) 夜逃げして田舎で農業に励む家族の隠された関係を描く。名古屋の劇団「わに社」によるダブルキャスト公演です、初観劇。 軸がいくつもあり、メインはマイルドヤンキーな娘なのか、ぶっ…

「あ、カッコンの竹」

日本/公演中(初日)/コトリ会議(山本正典作・演出) 山姥が出ると噂される竹林に迷い込んだ人々の群像劇。関西の劇団「コトリ会議」の全国ツアー公演です。初観劇。 かぐや姫の物語に代表されるように、竹という植物には不思議と生にかかるエネルギーが感…

「うちやまつり」

日本/公演中(初日)/オイスターズ(深津篤史作、平塚直隆演出) 連続バラバラ殺人のあった団地に住む人々の、とある元旦の1日を描く。名古屋の劇団「オイスターズ」が、若くしてこの世を去った劇作家・深津篤史を悼む「深津演劇祭」に参加した作品です。…

「変身」

日本/'15年公演/柿喰う客(中屋敷法仁構成・演出) “高校生のための演劇プロジェクト”と銘打ち、カフカの「変身」や中島敦「山月記」、芥川龍之介「羅生門」を再構築した作品です。 「山月記」と「羅生門」は朗読と大差ないですが、「変身」に差し掛かる…

「夢と希望の先」

日本/'16年公演/月刊「根本宗子」(根本宗子作・演出) 夢を抱いて東京へ出てきた女の子が、夢諦めてダメ彼氏と一緒になった10年間の喜悲こもごもを描く。月刊「根本宗子」本多劇場初進出作品です。初観劇。 丁寧に描かれる若者の主張が、ラストに怒涛…

「胎内」

日本/公演終了(マチネ)/刈馬演劇設計社(三好十郎作、刈馬カオス演出) 戦後の日本、脆くじめじめとした穴に閉じ込められた3人の男女の人間模様。再評価の進む三好十郎戯曲を、名古屋の劇団が上演したものです。 閉塞感は凄まじく、観客席まで息苦しい。ただ…

「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。」

日本/公演中(再演/マチネ)/マームとジプシー(藤田貴大作・演出) 小さなまちで起きた事件に感化された家出少女と、同級生たちの物語。ゼロ年代の旗手、やっと初観劇。 藤田版スタンドバイミーのような。個人が「点」として存在しながら、それが線でつながる…