ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

演劇

「シティIII」

日本/公演中(ソワレ)/愛知県芸術劇場(カゲヤマ気象台作、捩子ぴじん演出) 劇場主催の上演を前提としたAAF戯曲賞大賞作品のお披露目公演。 久々にまったく意味のわからないものを観たなと。アフタートーク曰く「果てしない未来で何かを待っている」話だそう…

「幻想美術館」

日本/公演終了(マチネ)/幻想美術館 もうひとりの私をさがす5つの短編演劇作品のオムニバス。 美術館を称するにしては作品の道具選びから衣装、さらには空間に至るまで美意識が感じられなかったのが残念。作品ごとに会場内のフロアを移り歩く構成にも必然…

「終の楽園」

日本/'14年公演/文学座(長田育恵作、鵜山仁演出) 高級老人ホームで暮らす気難しい老人と子供たちの遺産相続の争いを通して「家族」の在り方を問う。 4人の兄弟はそれぞれが違う親を持ち、か細い線で偶然つながっている。また、偶然その場に立ち会うこと…

「白雪姫」

日本/公演終了(マチネ)/体現帝国(渡部剛己演出) 影を食べて美しくなる女。愛知から東京へと活動の場をうつした劇団、初観劇です。 グリム童話を下敷きとした、一昔前のアングラ仕立てのファンタジー。影の映し方を並べ立てるも、女王と白雪の苦悩は浮かび…

「サマータイムマシン・ワンスモア」

日本/公演中/ヨーロッパ企画(上田誠作・演出) 懐かしの部室に集まった面々の前に因縁のタイムマシンが再び現れる。ヨーロッパ企画20周年記念として代表作と続編の同時上演です。 かつてSTMBを観ている*1からこその同窓会。あんなにタイムマシンを使ってし…

「サド侯爵夫人」

日本/'12年公演/世田谷パブリックシアター(三島由紀夫作、野村萬斎演出) フランス革命前夜、特殊な性癖が露見し牢獄に捕らえられた侯爵の帰りを待つ貞淑な妻の20年におよぶ気持ちの移ろいを描く。 サド・マゾの語源となった実在の作家を登場させることな…

「アジア温泉」

日本/'13年公演/新国立劇場(鄭義信作、ソン・ジェンチェク演出) 温泉が出るという噂を聞きつけ因習残る島に一攫千金を狙いに集まった人々と島民との触れ合いを描く。新国立劇場が手掛ける「With ─つながる演劇─」第2弾です。 日韓入り混じる作品ですが、…

「書く女」

日本/'16年公演/二兎社(永井愛作・演出) 貧乏に悩ませられながらも筆に命を捧げた樋口一葉の半生を描く。 何を書くべきか。それは一葉にとってはどう生きるかに直結する。女だてらという言葉に戦いを挑んだ生涯だったのでしょう。女だてらに戸主となり、…

「裸の王様」

日本/'17年公演/カジャラ(小林賢太郎作・演出) お笑いであり、演劇であり、パフォーマンスであるコント集。 ラーメンズ、K.K.P.、ポツネン等でやってきたことを組み合わせての小林賢太郎新レーベル。目新しさはなく、多人数のコントをやりたくなったけど…

「管理人」

日本/'17年公演/世田谷パブリックシアター(ハロルド・ピンター作、森新太郎演出) 家のない男が転がり込んだ男と奇妙な兄弟の共同生活を描く。 働こうとせずアンドロイドのように他人と接するマイペースな兄。そんな兄を心配し仕事を与えようとする弟。巻…

「輪廻輪唱アラモォド」

日本/公演中(マチネ)/右脳中島オーボラの本妻(丸蟲御膳末吉作・演出) 文字が廃れた文明で、文字を発掘しながら言葉を紡ぐ人々を描く。名古屋の劇団、初観劇です。 久しぶりにMAD動画のような演劇作品を観たなと。巷に溢れた一昔前の言葉や歌などを、…

「忘れる日本人」

日本/公演中(再演)/地点(松原俊太郎作、三浦基演出) 3.11が起こったとき、ともに舟を担いだ日本人のいまを描く。 あれから我々は何を忘れたのか。痛烈な怒りはぶつけるあてなく揺れに揺られ、嘔吐のごとく内向きに爆発する。わっしょいの掛け声に壁を取り…

「夢見るリリィと華麗なる生活」

日本/公演中/妄烈キネマレコード(西尾武作・演出) 海辺の田舎町でシェアハウスを営む女性とそこに暮らす人々の人生模様。名古屋の劇団、最新作。 青臭いロマンチストは変わらずも、視野が広がった感じを受けました。はっきりしないウジウジさんたちへのエー…

「誓いはスカーレット」

日本/公演中/劇団どくんご(どいの構成・演出) 鹿児島から全国を旅する劇団「どくんご」最新公演。愛知は緑区の徳林寺にての上演です。 降り続いた大雨が午後にはカラッとあけての公演日。現地はもはや湿地帯のごとく踏む土踏む土から水が染み出し、客席最前…

「ひなんくんれん」

日本/公演終了(ソワレ)/うんなま(繁澤邦明作・演出) 引きこもり少女が夢の中で行う避難訓練。伊丹アイ・ホールが気鋭の劇団の上演機会を提供する次世代応援企画「break a leg」での公演です。 言葉が固くて台詞に昇華されておらず、たんに防災啓発劇をした…

「更地」

日本/'92年公演/太田省吾作・演出 住み慣れた家の跡地を、窓から覗き見る夫婦。沈黙劇で名を遺す太田省吾作品は、初めての鑑賞です。 黄金の時がほしい。そこに本当にあったということ。愛する人と過ごした場所は、取り壊されたからといって無くなるわけ…

「フラジャイル・ジャパン」

日本/公演中/刈馬演劇設計社(刈馬カオス作・演出) 災害遺構として残る学校の存廃を巡って、人々の思いがぶつかり合う。名古屋の劇団の最新作です。 東日本大震災後さまざまな議論を巻き起こしてきたダークツーリズム。コンテンツの選択は悪くないけれど、…

「メビウス」

日本/公演中(Aチームソワレ)/リンクスプロデュース(ナツメクニオ作) 粗筋等は過去の日記参照(→id:totte:20180225)。再演を重ねるパッケージ作品の名古屋初公演です。 前回と異なり安定感のあるペアな印象。マイムの質は高く、画面構成も巧みで飽き…

「ヒバカリ」

日本/公演終了(マチネ)/電光石火一発座(二和進作、吉川和典演出) レンタルビデオ店の事務室で繰り広げられる人間ドラマ。 社員、バイト、パート。それぞれの生活に根付いた何気ない日常が瞬間的に揺らぐとき、そこにドラマが生まれる。事務所の金庫から売…

「ちほうとし」

日本/公演中/あたらしいまち(かしやましげみつ作・演出) 日常のなか、少女の生活を切り取る。名古屋の劇団、初観劇。 素舞台に物語のなかの町が浮かび上がるのはワイルダー「わが町」を彷彿とさせる。少女を生活ごと囲ってしまうのが地元であり、漢字の「地…

「WARRIOR〜唄い続けた侍ロマン」

日本/'12年公演/TEAM NACS(森崎博之作・演出) 天魔王と恐れられた織田信長と、彼のもとに集う武将たちの天下を分けた物語。 それぞれの思惑が錯綜するなかで信長というカリスマの前で愛憎入り混じる、歴史のifをファンタジー化した人情群像劇。抜け目のな…

「新幕末純情伝」

日本/公演中(ソワレ)/44口径マグナム(つかこうへい作) 数奇な運命のもと河原者から剣の腕を磨いた女剣士と土佐の竜の純愛人生浪漫。『幕末純情伝』を過去2度鑑賞しています*1。 時代が変わろうとする大きなうねりのなか、「自由」を声高に叫ぶ。果たし…

「レインメーカー」

日本/公演中(マチネ)/劇団ショウダウン(ナツメクニオ作・演出) 怪物たちの押し寄せる魔法の国に暮らす子供たちの大切なものを守るお話。大阪の劇団、初観劇です。 これは大きな劇場でやらなければいけない作品。ピーターパンシンドロームかモラトリアムか…

「寿歌」

日本/公演中(マチネ)/愛知県芸術劇場・SPAC共同企画(北村想作、宮城聰演出) 核戦争を彷彿とさせる世界で、リヤカーをひく旅芸人一座のやり取りを描く。北村想の戯曲をSPACの芸術監督である宮城聰が演出した作品です。 以前に加藤健一事務所版*1を映像…

「跡」

日本/公演終了(ソワレ/追加公演)/仕立て屋のサーカス 布と音と光の旅路。仕立て屋と2人の音楽家と照明家による異色パフォーマンスユニット、初観劇です。 布が垂れ下がり敷き詰められた場所に、男がひとり行商のようにやってくる。音楽とともにやがて人数…

「MANGA Performance W3(ワンダースリー)」

日本/公演終了(マチネ/追加公演)/MANGA Performance W3実行委員会(ウォーリー木下構成・演出) 漫画家と宇宙人調査隊との交流を通して、地球は守るべき星なのかを問う。手塚治虫による同名漫画の演劇化です。 二次元の漫画表現と三次元の演劇表現をミックス…

「メビウス」

日本/公演中/リンクスプロデュース(ナツメクニオ作) 時代を越えて思い出されていく記憶の物語。組み合わせを変えて断続的に上演を重ねる演劇作品、初観劇です。 どこかであなたと会ったことがある気がする。大ヒットとなったアニメ映画『君の名は。』のプ…

「マダム」

日本/公演中(マチネ)/THE ROB CARLTON(村角太洋作・演出)危篤状態の大奥様のもとに結婚を反対されている孫が説得にくる。上質な喜劇を提供する大阪の劇団、初観劇です。 吉本新喜劇と何が違うのかを考えていました。確かに関西お笑いのイメージにしては、…

「三月の5日間」

日本/公演終了(再演)/チェルフィッチュ(岡田利規作・演出) イラク戦争開戦前後の渋谷を、若者たちの視点から描きとる。岸田國士戯曲賞受賞作を、チェルフィッチュ20周年記念にリクリエイションした作品です。チェルフィッチュは劇場初観劇。 観るのは二度…

「誕生(初生)」

台湾/公演終了/Flying Group Theatre 夢で見た鯨のお腹の中で見つけたたまごを巡る物語。台湾の劇団の親子向けのお芝居、初観劇です。 人形と投射、そして生演奏。大筋説明以外はほぼ台湾語で、ニュアンスだけで楽しむのはちょっと辛かったのですが、子供…