ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

ゴーストライター

ゴーストライター [DVD]
仏・英・独/’10年製作/ロマン・ポランスキー監督


前英国首相の自伝のゴーストライターを務めることになった男が謀略に巻き込まれていく。
「ゴースト」だったのは誰/何だったのか。主人公でもあるし、彼を導く前任者の影でもあるし、前首相でもあるし、その妻でもある。何なら市民生活の裏に潜むものかもしれない。強引な方向指示器はあれど、語られずも描かれていることが多いことに観終わってから気づく、老練なサスペンスドラマであったのは間違いありません。
誰でもないを演じきったユアン・マクレガー。説得力あるピアース・ブロスナン

ズートピア

ズートピア (字幕版)
米/’16年製作/バイロン・ハワード、リッチ・ムーア共同監督


共生社会で警官を夢見るウサギが差別と偏見に晒されながらも街の平和のため身体をはる姿を描く。
ディズニーのテーマパーク感と現実の社会問題を混ぜ込んで簡潔にまとめた教科書のような作品。テンプレ満載でげんなりするところはありつつも最後までワクワクは持続するし、どんな映画も誰かの第一作目だと考えれば、この映画から観始めることは素敵なことだと思います。多様性において「あなたは違うから」が鋭い刃であることがラストで薄まってしまった気がするけどどうなのか。
受付係が癒し担当。

地下鉄のザジ

地下鉄のザジ [DVD]
仏/’60年製作/ルイ・マル監督


パリにやってきたおてんば娘が憧れの地下鉄に乗るべく街中を駆け回る。
シュールは生き残るもナンセンスは陰に隠れてしまっている感じのする現代で、この映画は鮮烈。なぜ・なに・どうしてをひとつずつ考えていたらついていけない。この時間を地獄と捉えるか御馳走と捉えるか分かれると思いますが、自分は後者で快楽成分が分泌され続けました。とはいえラストの大乱闘は置いてかれてしまったのでした。
隙っ歯のカトリーヌ・ドモンジョ。