ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

ペイルライダー

ペイルライダー(字幕版)
米/’85年製作/クリント・イーストウッド監督


金鉱を巡り対立する西部のまちに流れ着いたガンマンの牧師が因縁の相手と対決する。
アメリカの時代劇たる西部劇らしく単純明快でオーソドックスな物語。寡黙で、強く、女にもてて、弱き者に優しい男が、スーパーマン的に敵をバッタバッタと倒していく姿に観る側も夢を託したのでしょう。主人公の過去がどんなだったのか劇中で語られませんが、そういう触れがちな無駄をバッサリ切って観やすくする脚本の巧さ。
誰もが惚れるイーストウッド

オネアミスの翼 王立宇宙軍

王立宇宙軍 オネアミスの翼 [DVD]
日本/’87年製作/山賀博之監督


無気力な男が社会システムに違和感を抱きながら世界初の宇宙飛行士になるまでを描く。ガイナックスのデビュー作で、タイトルの語順はキネ旬DBに基づきます。
地球に似た別の星のお話のようで、実は『猿の惑星』よろしくにも感じる世界は、ずばり文明批判であり、そして人間讃歌でもある。厭世観を抱きつつも宇宙に何かを求めて飛び立つ主人公と、史上初の有人飛行という大きな挑戦に突き進む開発チームの姿は、庵野秀明樋口真嗣前田真宏などいまの日本映画界を掻き回す当時の若手製作者たちそのものなのかもしれません。
独特な空気をつくる森本レオ

シックス・センス

シックス・センス (字幕版)
米/’99年製作/M・ナイト・シャマラン監督


見えないものが見える少年と小児精神科医とが心を通い合わせていく。
幼い頃は今よりもいわゆる「第六感」が研ぎ澄まされていた気がします。それは霊感だけではなく、何かを感じとる力とでも言うのでしょうか。そんな誰にでも身に覚えのあるかつてのザラリとした感覚を見事に物語に昇華した作品。すべての伏線が一気に解消されるラスト、これだけ有名な映画ながら前知識なく観ることができたのは本当によかった。
マッチョじゃないブルース・ウィルスと、絶大な人気を博したハーレイ・ジョエル・オスメント

チャイナタウン

チャイナタウン (字幕版)
米/’74年製作/ロマン・ポランスキー監督


水不足に悩むかつてのロサンゼルスを舞台に、私立探偵が陰謀に巻き込まれる。
金と欲が死体を生むサスペンスと、小気味よいユーモアによる正統派ハードボイルド映画。そこかしこに出てくる「チャイナタウン」という単語に潜む気配にピンとこないと色々とすんなり入ってこないけれど、それでもノワールの香り漂う雰囲気に酔う。筋が2本あることに気づくまでは追うのが大変な脚本はアカデミー賞を受賞しています。
ふてぶてしいジャック・ニコルソン、それよりもふてぶてしいジョン・ヒューストン

ナチュラル・ボーン・キラーズ

ナチュラル・ボーン・キラーズ ディレクターズカット (字幕版)
米/'94年製作/オリヴァー・ストーン監督


生まれついての人殺しのカップルが、運命に従い愛と殺人に突き進むロードムービー
無名時代のクエンティン・タランティーノの脚本を原案としたバイオレンス映画で、公開時は上映禁止が相次いだとか。センセーショナルな暴力的な表現よりも、めまぐるしく挿入されるイメージカットと、痛烈な社会批判・マスコミ批判のインパクトが勝るエネルギーに圧倒されました。胸糞悪くも最高にハイになれる嗜好品のような作品です。
ウディ・ハレルソンジュリエット・ルイスの殺人狂よりも、記者役のロバート・ダウニーJr.の狂気。

機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者

機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者- [DVD]
日本/'05年製作/富野由悠季監督


宇宙空間での大きな戦争を終えた世界で、新たな戦いに巻き込まれていく人々を描く。テレビシリーズに新たなカットを加えて再編集した映画版です。
3部作の1作目なので顔見世の序章な内容。1年戦争を描いたいわゆるファーストガンダムの正式な続編で、アムロ・レイシャア・アズナブルらお馴染みの面々が登場するも、固有名詞が多すぎるのと、ダイジェストみたいにシーンが飛ぶのと、内乱に近い関係性で敵味方がはっきりしないのとで、予備知識なしでは追いかけきれず。
飛田展男演ずるカミーユ・ビダンが主人公だけれど、今作では主役は池田秀一演ずるシャア=クワトロ・バジーナでした。

波のような人

日本/公演終了(マチネ)/ヌトミック+細井美裕(作・演出 額田大志)


F・カフカの「変身」を原案とし、姿を消した兄の発する音のみが聴こえる家庭を描く。
副題は「マルチチャンネルスピーカーと俳優のための演劇作品」で、音楽を作演でもある額田が、サウンドデザインを細井が手掛ける今作。本編中ではわかりませんが、兄は虫ではなくデータ化したという設定らしい。役者と音とその”データ”とが並べられたシーンを不条理劇として受け止められるだけのキャパシティを持ち合わせてなかった。
出演は長沼航、原田つむぎ、深澤しほ