ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

残火

日本/公演中/廃墟文藝部(斜田章大作・演出) 昭和と平成の境目に生まれた世代が見つめる平成史。名古屋の劇団「廃墟文藝部」によるコロナ禍での延期公演です。 2つのターニングポイントとなる震災と、これから必ずくるといわれる大地震を軸に描かれるも…

BOAT

日本/’18年上演/東京芸術劇場(藤田貴大作・演出) どこかの島で暮らす人々と忍び寄る戦争の影。「マームとジプシー」の藤田貴大による東京芸術劇場主催公演です。 現在のウクライナ情勢のもとで、この作品から感じ取られるものは大きく変わったように思…

大魔神

日本/’66年製作/安田公義監督 城主だった親を謀略により殺された兄妹の願いにより、悪政をはたらく武将のもとへ大魔神の怒りが降りかかる。 時代劇×特撮という組み合わせは考えたことがなかったのに半世紀以上も前に創られていたということも驚きですが…

日本/’21年上演/ティーファクトリー(川村毅作・演出) 死刑制度の前で、悩みぬく者たちの姿を描く。2012年に白井晃演出で初演され、その後様々なかたちで上演されてきた作品を川村毅自身が初演出したものです。 詳細は語られずとも、犯罪被害者たちのセ…

ニック・オブ・タイム

米/’95年製作/ジョン・バダム監督 政治家の暗殺を強要された男が人質にとられた娘を救うため立ち振る舞う。 巻き込まれ型の発想としては有無を言わせないかたちで良いけれども、あれだけ面子もそろえて、顔も晒して、成り行きとはいえ関係者の殺害も厭わ…

必殺4 恨みはらします

日本/’87年製作/深作欣二監督 新たに赴任した奉行が仕掛ける復讐劇に巻き込まれる仕事人たちの命をかけた働きを描く。必殺シリーズ映画版第4弾です。 息を吞む美青年の狂気が恨みの連鎖を生むメインストーリーと、仕事人稼業の業の深さのサブストーリー…

山椒大夫

日本/’54年製作/溝口健二監督 人買いに売られ家族と離れ離れになった兄妹の苦難の日々を描く。森鷗外の小説を映画化したヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞作です。 「山椒大夫」が説経節のひとつで、安寿と厨子王の物語であることを不勉強ながら知らず…

DROP

日本/’08年上演/Kentaro Kobayashi Solo Performance Live Potsunen(小林賢太郎作・演出) 感想、後ほど。。。

死なない男は棺桶で二度寝する

日本/’17年上演(再演)/劇団ポップンマッシュルームチキン野郎(吹原幸太作・演出) 不老不死になってしまった男が素性を隠して永遠の命を生きる。 おバカな展開と安っぽい扮装でそこはかとなくB級っぽく進行するも、そこで描かれる物語は深く、人気劇…

鑓の権三

日本/’86年製作/篠田正浩監督 不義の汚名をかけられた男が信念を貫く。近松門左衛門の浄瑠璃が原作だとか。 傑作とまでは言えずとも、アイドル映画かと侮るなかれ。なぜ男は女と逃避行したのか、せざるを得なかったのか。主人公の性格や人格、立ち位置を…

さよならの朝に約束の花をかざろう

日本/’18年製作/岡田麿里監督 とある長命な種族の女が、禁忌を破り短命な種族と交わることで成長する。 ファンタジーの装いを着せて描かれる出会いと別れ。縦の糸と横の糸を織り紡ぐ布に言語情報が付与されるというのは、たぶん一種の暗号のようなものな…

海よりもまだ深く

日本/’16年製作/是枝裕和監督 いい歳してろくでなしの息子が実母の家で元嫁と子供と過す台風の一夜を描く。 家族を描き続ける是枝作品。心温まるというよりかはグサグサと心の脆い部分を抉ってくるような感覚。主人公のダサい感じがもの凄くわかるから。…

ツイスター

米/’96年製作/ヤン・デ・ボン監督 竜巻に取りつかれた元夫婦の奮闘と関係性を描く。 マッドサイエンティストたちの集いはかくも面白い。自然の驚異を解明し人々を助けたいという思いも多分にあるでしょうが、どちらかというと血沸き肉躍る感覚を楽しんで…

ファンタスティック・プラネット

仏・チェコスロバキア/’73年製作/ルネ・ラルー監督 とある星で高度な知性をもつ種族のペットとされてきた人間種が蜂起する。ステファン・ウルによる「オム族がいっぱい」を原作としたアニメーション映画です。 独特の絵柄と哲学的な世界観が癖になる古典…

必殺!

日本/’84年製作/貞永方久監督 世の理不尽に影から制裁を与える仕事人の組織間対立を描く。人気テレビシリーズの映画化1作目です。 世のため人のためと言いつつも殺し合いであることは紛れもない事実。正義を振りかざさないようバランスをとるのが難しい…

蘇える金狼

日本/’79年製作/村川透監督 冴えない経理職員を演ずるタフガイが非合法に金を稼いでいく。大藪春彦の同名小説の映画化です。 何かおぞましいものの化身となった男が積み上げた成功と一瞬の破滅。簡単に人を殺す一方で純情ぶるダークヒーローが、どこか間…

約束のネバーランド

日本/’20年製作/平川雄一朗監督 食用に育成される人間の農園であることに気付いた孤児院の子供たちが命がけで脱走する。同名の漫画の実写化です。 原作の表層をなぞるだけの脚本にげんなり。明かされる真実とだまし合いにより、少年少女の繰り返される希…

遊星からの物体X

米/’82年製作/ジョン・カーペンンター監督 南極の永久凍土から発掘されたエイリアンに侵略される観測所の職員たちの恐怖を描く。映画化されるのは2度目だとか。 閉ざされた空間と動物への擬態化という鬼強設定が無理なく描けているところがこの作品を現…

夫のオリカタ

日本/公演中/劇団蒼天の猫標識(作・演出 いば正人) 子供たちの集まる駄菓子屋の2階で折り紙を折りながら夫婦が織りなす物語。いば正人による外部への戯曲提供作をセルフリメイクしたものです。 ファンタジー要素を帯びつつも、タイトルさながら想いも機…

ツインズ

米/’88年製作/アイヴァン・ライトマン監督 研究施設で離れ離れになった二卵性双生児が出会い、ルーツを辿っていく。 世俗から切り離された離島で愛情にあふれ何不自由なく成長した純粋なタフガイと、苦労まみれでズタボロな生活を送るダメ男が双子という…

アウトブレイク

米/’95年製作/ヴォルフガング・ペーターゼン 監督 生物兵器として密かに管理されていた未知の感染症に立ち向かう軍医の姿を描く。 このコロナ禍の現場は近いものがあったのでしょうか。民間も軍も政治も、統計ではなくひとりひとりの命に責を負うことと…

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021

日本/’21年製作/山口晋監督 独裁者に星を追われた小さな大統領のためにひみつ道具で小さくなった少年たちが奮闘する。映画ドラえもんシリーズ最新作で、コロナ禍で上映が延期していたため年次がずれています。 シリーズで一番好きな作品のリメイクという…

トランスフォーマー

米/’07年製作/マイケル・ベイ監督 宇宙からきた変身する機械生命体が地球の未来をかけて激突する。日米合作のアニメを原作とし、その後シリーズ化した作品です。 ハリウッドらしい大作映画で後に残らずスカッとしたいときにはいいのでは。車や戦車、戦闘…

ドライブ・マイ・カー

日本/’21年製作/濱口竜介監督 舞台演出家が愛車を任したドライバーと交流するなかで自身の喪失と向き合っていく。村上春樹の小説を原作とし、キネ旬1位のほか、邦画初のアカデミー作品賞ノミネートということでも話題です。 不貞を働く妻を亡くした男。…

劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族

日本/’21年製作/岩合光昭監督 ミャンマーと北海道、それぞれで暮らす猫の姿を通してその土地の生活文化を見据えるドキュメンタリー。NHKの人気テレビ番組の映画版第2作です。 映画である必要性はわからないけれど、かわいさで売る動物映画とは一線を…

スチームボーイ STEAMBOY

日本/’03年製作/大友克洋監督 産業革命期のロンドンを舞台に科学の暴走とそれを喰い止めようとする奔走する少年を追う。公開時に観てから2度目の鑑賞です。 蒸気機関という人類の大きな発明は軍事利用により飛躍的な進化を遂げた。技術の進歩と拡散は悪…

バベットの晩餐会

デンマーク/’87年製作/ガブリエル・アクセル監督 田舎町で敬虔な生活を送る姉妹を通して豊かな人生とは何かを描く。 教訓的になりがちなテーマを、長い年月の小さなエピソードを絡めながら、一夜の晩餐会でギュッとまとめる手際の良さはまさに料理人のそ…

トキワ荘の青春

日本/’96年製作/市川準監督 伝説のアパート・トキワ荘で切磋琢磨する漫画家たちを描く群像劇。 後の時代からみると華々しい才能が集まった場所を、後の時代からみると華々しい出演者が集まってつくられた映画。役者と役がオーバーラップしてみえるのは後…

天河伝説殺人事件

日本/’91年製作/市川崑監督 奈良県天川村を起点に巻き起こる能に関連した連続殺人事件の謎をフリーのルポライターが追う。内田康夫による浅見光彦を探偵とする小説の映画化です。 登場人物も作品のつくりも、金田一耕助臭が漂うのは製作時から狙っていた…

ウォール街

米/’87年製作/オリヴァー・ストーン監督 世界の金融を牛耳る証券街でうごめく人生をかけたマネーゲームを描く。 上昇志向の証券マンがアメリカン・ドリームを目指し、詐欺やインサイダー取引に手を染めていく。血も涙もない成功者に憧れ見失った自分を、…