ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

米/’21年製作/ウェス・アンダーソン監督 独特なメンバーが集まる地方紙が発行する日曜別冊の最終版を描く。 平面的な絵面を多用する個性的なカット割りはどこを切り取っても画になるデザイン性の高さで、その感じがそのまま新聞紙面を連想させます。記者…

汚名

米/’46年製作/アルフレド・ヒッチコック監督 愛する男の前でスパイとしてハニートラップを行う女と、素直になれない男の恋愛模様。 苦い後味。一途に耐え忍ぶヒロインに対し、煮え切らないヒーローが胸くそ過ぎて、なんなら悪玉のはずの男の純粋な愛情の…

ハリーの災難

米/’55年製作/アルフレド・ヒッチコック監督 山で見つかった男の死体を巡り勘違いが織りなすドタバタ劇。 タイトルがほぼ出オチで、死んだ男に降りかかった災難はもはやドリフのコントと変わらないくだらなき面白さ。死体の処理を田舎のお茶飲み話レベル…

見知らぬ乗客

米/’51年製作/アルフレド・ヒッチコック監督 電車で偶然乗り合わせた男に交換殺人を持ち掛けられたテニスプレーヤーが恐怖のどん底に突き落とされる。 悪意のない狂気ほど恐ろしいものはない。気軽な生返事により交換殺人の契約が一方的に成立してしまい…

白い恐怖

米/’45年製作/アルフレド・ヒッチコック監督 記憶喪失の男と精神分析医の女が、殺人事件の影を追う。 恋は盲目を地で行く堅物科学者をほほえましく観ていると、だんだんサスペンス色が強くなっていく脚本に引き込まれていく。見た夢の内容が事件の顛末を…

疾風ロンド

日本/’16年製作/吉田照幸監督 スキー場に隠された生物兵器を探す羽目になった男と取り巻く人々が一歩踏み出す物語。東野圭吾の同名小説の映画化です。 大量殺戮目前の差し迫った状況なのにあまりに軽い展開についていけず。主題が繰り返されるロンド形式…

海月姫

日本/’14年製作/川村泰祐監督 再開発の迫る古いアパートを守るため、オタク女子と女装男子がファッションショーを開催する。東村アキコの同名漫画の実写化した作品です。 前半は安っぽい演出が鼻についてめげてしまうのですが、みんなでドレスづくりをは…

ファイト・クラブ

米/’99年製作/デイヴィッド・フィンチャー監督 不眠症の男が謎の男と出会い、地下の秘密闘技場に誘われていく。 退屈な現実が嫌で破壊してしまいたいとの妄想は誰しも何かしら抱くものですが、実行してしまうとそれはテロリストとなる。ファイト・クラブ…

ボヘミアン・ラプソディ ライブ・エイド完全版

米/’18年製作/ブライアン・シンガー監督 英のロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーの半生を描く。 本人と見紛うばかりのラミ・マレックの演技が圧巻で、かつクイーンの音楽を楽しむにはもってこいな作品。ただ、人間として描かれたフレディ…

鬼平犯科帳

日本/’95年製作/小野田嘉幹監督 江戸の「鬼平」こと火付盗賊改役・長谷川平蔵の活躍を描く。池波正太郎の人気小説を原作としたテレビシリーズの映画版です。 つまりは日本の保安官もの。常に正義で、豪胆で、優しく、強い。作品自体は1時間ドラマを2本…

笑の大学

日本/’96年公演/パルコ(三谷幸喜作、山田和也演出) 太平洋戦争の最中、浅草で軽演劇活動を行う座付き作家と検閲官との攻防を描く。以前に再演版を観ているも初演版は初見です。 14年前に観たときよりも粗削りな印象だったのですが、上演年に違いがあっ…

スターリンの葬送狂騒曲

英・加・仏・ベルギー/’17年製作/アーマンド・イアヌッチ監督 ソ連の指導者スターリンの死去に伴う中枢組織の権力闘争。 歴史の変わり目をコメディタッチに描くも、謀略と粛清の嵐で気楽に笑えない。ハタからみると同じ穴の狢で滑稽だったなということな…

天国は待ってくれる

米/’43年製作/エルンスト・ルビッチ監督 女遊びが好きだった紳士が地獄の入り口で自らの人生を振り返る。 ウィットに富んでお洒落なロマンチック・コメディ。どことなく舞台劇のような印象。憎たらしいのに憎めない男はいつまでも少年のようだからかしら…

ニノチカ

米/’39年製作/エルンスト・ルビッチ監督 パリを舞台に、資本主義者と社会主義者が恋に落ちる。 どこまでおふざけでどこから真剣なのかわからない、とにかくウィットに富んだ物語。時代を反映して設定に活かしているけれど、そこで描かれているのはもはや…

ガス燈

米/’44年製作/ジョージ・キューカー監督 サスペンス色強めながら上質な古典ミステリー作品。元は舞台劇だとか。過去に起こった身内の殺人事件、優しいはずの夫の奇怪な言動、不安と恐怖からくる精神錯乱。それぞれがひとつの目的に向かって集約する脚本…

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

日本/’84年製作/石黒昇、河森正治監督 宇宙船で暮らす人類と異星人の戦争のなかで、軍人とアイドルが織りなす恋愛模様。現在に続くマクロスシリーズの劇場版1作目です。 一曲の歌(文化)が世界を救うという壮大な設定と、メロドラマな三角関係、そして…

愛と死をみつめて

日本/’64年製作/斎藤武市監督 難病に侵された大阪の女学生と彼女を想う東京の男子学生のプラトニックラブ。書簡集が書籍化されベストセラーとなった作品の映画化だとか。 時折顔をのぞかせる現実の非情さが刺さる。お金がなくてすぐには見舞いに来れない…

AD-LIVE2016

日本/’16年公演/AD-LIVE Project(鈴村健一作・演出) 睡眠状態から醒めない友人を救うべく新技術により心の中に会いに行く。鈴村健一がプロデュースする声優陣によるアドリブ劇の2016年9月10日キャスト版を鑑賞。 大まかな設定とストーリーに沿い、2人…

新聞記者

日本/’19年製作/藤井道人監督 国家の関与が色濃い事件を巡り、新聞記者と内閣府職員がそれぞれの信じる道を模索する。日本アカデミー最優秀作品賞受賞作です。 現実に起こっている真偽不明事案を織り交ぜてのフィクションのストーリーで、「忖度に負けな…

巴里の屋根の下

仏/’30年製作/ルネ・クレール監督 恋多きパリの街角で出会った男女の恋愛模様。ルネ・クレールによるトーキー第1作とのこと。 無声映画と有声映画の合いの子のような作りで、移行期の空気も感じさせる作品。主人公の都会の流行歌を路上で歌いながら販売…

天守物語

日本/’11年公演/新国立劇場(泉鏡花作、白井晃演出) 姫路城の天守に巣食う魔物と地上の鷹匠との恋愛模様。1917年に発表されたが、モノの本によると初演は1950年代だとか。 妖しさ満点、海外ものであればダークファンタジーとジャンル付けたいけど、この…

アンダーグラウンド

仏/’95年製作/エミール・クストリッツァ監督 旧ユーゴスラヴィアの激動の時代を描く。カンヌ映画祭パルムドール受賞作です。 エンターテインメント性を保つユーモアと、それに埋没させない悲劇を、ギリギリのバランスで語り抜く圧倒的なエネルギー。民族…

風の谷のナウシカ

日本/’19年公演/松竹(丹羽圭子・戸部和久作、G2演出) 世界の真実を解き明かすべく立ち向かう少女の姿を通して人と自然の共生を描く。同名アニメ映画の原作でもある宮崎駿による漫画全7巻を新作歌舞伎として上演したものです。 通しで7時間に及ぶ超大…

運び屋

米/’18年製作/クリント・イーストウッド監督 家族を顧みなかった退役軍人が麻薬の運び屋をやりながら関係を修復していく。 金と時間を費やした事業に失敗したところを、無事故無違反の優良ドライバーとして麻薬組織に腕を見込まれる90歳という設定は良…

イノセンス

日本//押井守監督 感想、後ほど。。。

グラン・トリノ

米/’08年製作/クリント・イーストウッド監督 自動車会社を退職した偏屈な男が、隣家の青年と交流することで他人と触れ合う大切さを思い出していく。 過去の栄光と現在の誇りを象徴するアイテムとして登場するフォードの「グラン・トリノ」が主役を喰うほ…

デジャヴ

米/’06年製作/トニー・スコット監督 国家機密プロジェクトに参加する刑事が過去を覗き見ながらテロ事件を阻止すべく奮闘する。 サスペンスチックな刑事ものだと思いきや、いつの間にかSFになっていて気持ちを立て直すのに少し手間取りました。タイムワー…

バットマン リターンズ

米/’92年製作/ティム・バートン監督 怪人に狙われたクリスマスで賑わうまちを守る男の活躍を描く。アメコミを原作とした「バットマン」シリーズ第1作のキャスト・スタッフによる続編です。 映画史に残る悪役ジョーカーを生み出した前作に引き続き、丁寧…

Cat in the Red Boots

日本/’07年公演/劇団☆新感線(戸田山雅司作、いのうえひでのり演出) 魔法の赤い長靴をはいた猫に導かれた平凡な青年が、物語の主人公になるまでを描く。 ヨーロッパの童話や民話などを散りばめたミュージカル調ファンタジー活劇。当たり障りのないスト…

はいからさんが通る

日本/’20年公演(再演)/宝塚歌劇団花組(小柳奈穂子作・演出) 動乱の大正期に運命を翻弄されるはいからさんと青年将校の恋愛模様を描く。大和和紀による同名漫画を宝塚歌劇団が舞台化したものです。 文明開化の明治を経て女性の権利が大きく謳われた時…