ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「更地」

日本/'92年公演/太田省吾作・演出


住み慣れた家の跡地を、窓から覗き見る夫婦。沈黙劇で名を遺す太田省吾作品は、初めての鑑賞です。
黄金の時がほしい。そこに本当にあったということ。愛する人と過ごした場所は、取り壊されたからといって無くなるわけではないのです。不存在という存在が雄弁と語るなかで、そぎ落とされた会話には更地に残る思い出なんかが重なって聞こえ、心にじんわりと残るものがあります。
瀬川哲也と岸田今日子