ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「観客席」


日本/公演終了(再演)/演劇実験室◎万有引力(寺山修司作、J・A・シーザー演出)


演劇に欠かせない「観客」とはなにかを炙り出す異色作。寺山率いた劇団「天井桟敷」の流れを汲む劇団「万有引力」による寺山没後30周年を飾る公演です。初観劇。
舞台と客席の間にある"第三の壁"を壊すアプローチは様々ありますが、「観客」そのものに焦点をあてたこの作品の初演はとみに画期的だったことでしょう。今観ても刺激的。立派な劇場ではなく狭くて猥雑な見世物小屋のような場所で観るべきものだと思いますが、観客の無名性を批判し挑発するその手法のひとつひとつに「演劇」自体考えさせられるところがあって。かといってエンタメを外さなかったところを推す。
すましてしまった自分が一番減点対象だったような。揺さぶられたまま劇場を出る快感。