ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「田園に死す」


日本/公演中(3演/マチネ)/流山児★事務所(天野天街作・演出)


寺山修司の半自伝的同名映画の舞台化という形を借りた奇才・天野流寺山修司論。'09年度紀伊国屋演劇賞団体賞受賞作の3演目にして最終公演です。流山児★事務所は初観劇。
寺山修司の衝撃は遅れてきた者にはわからない、が天野天街という才能は今の僕にもよくわかります。寺山生涯のテーマ「私とはなにか」を人生→映画→芝居→現実の多重メタ構造で具象化。嘘で美化された半生ながらラストでスズナリ(舞台美術!)に足を踏み入れる主人公に、そこにある演劇はリアルなのだという叫びと、単純に我々が共有する演劇への期待感を読み取りました。圧巻。
怒涛の前半から大人のシンジが出てきてからの重み。予想外にキャラメルボックスからの大内厚雄が良かったです。