ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「黙阿弥オペラ」

日本/'10年公演(四演)/こまつ座(井上ひさし作、栗山民也演出)


柳町蕎麦屋にあつまるダメな男たちが、江戸から明治への激動の時代に揉まれながら生きる姿をユーモラスに描く。井上ひさし専門劇団「こまつ座」による追悼公演です。
あらためて井上ひさしの筆の力というものに圧倒されました。狂言作家である河竹黙阿弥を中心にした群像劇であるこの作品は、演劇論や劇作家論、国家論など井上の意思表明でありつつ、弱さや辛さも全肯定してくれて更に人々のもつエネルギーの強さを信じた、非常に温かいものに仕上がっています。無条件に元気になれる、そんなお芝居でした。素晴らしい。
もちろんそれを体現した役者陣あってこそ。吉田鋼太郎もさることながら、この藤原竜也は今まで観た中で一番好きです。