ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「組曲虐殺」

日本/'09年公演/こまつ座(井上ひさし作、栗山民也演出)


プロレタリアートの旗手・小林多喜二の半生を描く。先月亡くなった劇作家井上ひさしの最後の戯曲です。
近年大人気の小林多喜二ですが、衝撃的な最期以外は「蟹工船」すら読んだことがなくこの作品がほぼ初接点でした。特高ににらまれながらも自分の信念にのみ従う小林の情熱はいわずもがな、この作品ではそんな彼を支える人々の姿を愛情たっぷりに描いています。ポンポンとシーンが動いて3時間ながらすごく見やすかったです。ジャズピアニスト小曽根真の生ピアノが素敵。小林の独唱は重すぎてちょっとしんどかったけど。ただ最後が少し弱いか。
高畑淳子の、声・表情・笑いの3拍子そろった見事な演技。山本龍二山崎一のとぼけた特高2人組も良いアクセントで◎。