ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「イーハトーボの劇列車」

日本/'13年公演(複数再演)/こまつ座(井上ひさし作、鵜山仁演出)


親の威光と虚弱体質に劣等感をもち続けた宮沢賢治と彼の元に届けられた思い残し切符。
世間一般がイメージする「童話作家」ではなくとにかく「でくのぼう」な賢治。甘い夢を描くたびに潰され、結局何もなし得ず死んでいく。これだけを観ると果たして宮沢賢治とは何だったのかと。劇中の台詞を借りれば、お前は誰だと。しかしこのまるで偉人とはいえない人間味が人々を惹きつけやまないのでしょう。日蓮宗の講釈と百姓への喝は面白かったです。
キャストにもう少し華が欲しいなという無いものねだり。でも華があるとこの芝居にはならないか。