ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「日の浦姫物語」

日本/'12年公演/ホリプロこまつ座(井上ひさし作、蜷川幸雄演出)


兄弟で交わり、親子で交わった男女の悲劇の物語。あまり上演されない作品を蜷川幸雄演出で復活させたものです。
まるで井上ひさしによるギリシャ悲劇。しかし本当の悲劇は物語の中ではなく、最後に冷や水をぶっかけられる観客側にあるのです。最も印象的に描ける場面がこれでもかと茶化され、どうもおかしいな、なぜ感情移入を拒むのかと思っていたら最後にこう来るかと。自分の身勝手さをまざまざと露出させられたかと思ったら、下卑た笑みを浮かべて去る語り部に追い討ちをかけられるという。これはキツい。
藤原竜也大竹しのぶが主人公なのは間違いないのですが、すべて語り部である木場勝己が持っていく。圧巻。