ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

竜馬の妻とその夫と愛人~と、歌使いの唄~

日本/’12年公演(再々演)/劇団東京ヴォートヴィルショー(三谷幸喜作、山田和也演出)


荒んだ生活を送る女とその周囲の人々の言動を通して坂本龍馬の存在の大きさが浮かび上がる。劇団東京ヴォートヴィルショーに三谷幸喜が書き下ろし映画化もされた作品です。
今日では歴史上の人物が息づく当時を虚実織り交ぜて切り取り、喪失感というかたちのないものをくっきりと描き出す。この作品は演劇という明確なフィクションが現実を超える良き事例と思えてなりません。皆がその影を追い求める偉大な志士は、その後歴史から一度姿を消し、再度脚光を浴びる。そんなこと関係なく、生きていたんだなあと思えるのが楽しい。
綾田俊樹が絶品、初演から唯一キャスト換えだったのにハマリ役としか思えず。佐藤B作、あめくみちこ佐渡稔も良き。