ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「グッドバイ」

日本/'13年公演/シス・カンパニー(北村想作、寺十吾演出)


8人の愛人をもつ大学教授の別れ話に加担するため雇われた美女とのほろ苦い愛の物語。太宰治の絶筆となった未完小説「グッド・バイ」に想を得て描かれた北村想オリジナル戯曲です。
原作は知らねども太宰愛に溢れた作品に思えます。死に別れた妻の想いを他人に注ぎ続ける堕落した男。その心の縁に触れた女。別れの決め台詞として日本語の「さようなら」ではなくあえて英語の「グッドバイ」を選んだ二人の思いたるや。原作が未完であることを効果的に戯曲に盛り込み、その作品の続きを、それもその終わりの部分から読んでいくという。全体には不満はあれど、その一点において心に刻まれる舞台でした。
段田安則の魅力は留まることを知らない。