ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「桜の園」

日本/公演中(再演)/地点(A・チェーホフ作、三浦基演出)


生まれ育った桜の園が競売に掛けられてしまったのに働く気もなくただニヤニヤ笑っているだけの家族のお話。先週に引き続いての、同じくチェーホフ『ワーニャ伯父さん』との交互上演作品です。
無理して連続で観に行ってよかったけれども少し不満が残ります。まるで解釈文を読んでいるかのような印象で、物語としての面白みは感じられませんでした。90分間窓枠を積み上げた装置から離れず、窓枠に物理的にしがみついて離さない。その固執とそのチェシャ猫のような笑みは病的。屈折した感情をぶつける先もない百姓あがりの金持ちなど、説明的な演出がくどかったように思う。
安部聡子の大奥様が秀逸。『ワーニャ〜』での娘役との落差が凄い。