ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「グッドバイ」

日本/'16年公演/KERA・MAP(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出)


偽物の妻を雇い愛人たちに別れを告げようとする男の物語。太宰治の未完の小説をKERAが舞台化した作品です。以前に北村想の戯曲によるシス・カンパニー版を観ています*1
粗筋の骨格は同じながら、枯れた渋みの北村版とはまったく違う作品だったので驚き。KERAはブラックユーモアあふれるポップな抱腹絶倒コメディに仕立てあげていました。未練たらたらの男と、たくましい女たち。愛人が集まって茶話会をするという設定は凄い。ひと癖もふた癖もある人間たちばかりなのに、描かれているのはストレートな恋愛模様で、しかもハッピーエンドというのにも驚きました。マイルドなKERA作品だったと思います。
登場人物が本当にみんな魅力的。仲村トオル山崎一萩原聖人野間口徹の男たちに、小池栄子町田マリー夏帆緒川たまき、池谷のぶ江の女たち。

*1:過去の日記参照→id:totte:20140708