ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ろくでなし啄木」

ろくでなし啄木 [DVD]
日本/'11年公演/三谷幸喜作・演出


うらびれた温泉宿に訪れた3人の男女の駆け引きを通して早世の詩人石川啄木人間性の片鱗を焙り出す。三谷幸喜生誕50周年と銘打たれた2011年の製作です。
近年の三谷作品らしい人間ドラマでありながらミステリー要素が強い一作。とある一夜に何が起こったのか、前半では啄木の恋人目線からの出来事を描き、後半では友人のテキ屋から見た前半の裏側を描く。実際に表裏を舞台上に表出させた演出は少し惜しいなと思うところもあれど、表側も裏側も一側面でしかないという見方は大変面白かったです。この日を機に啄木が変わったんだというラストは解せない。
藤原竜也のおぼっちゃん感は最近のハード系よりも似合います。ただ中村勘太郎(現・勘九郎)もおぼっちゃん臭がするのでキャラ被りな印象。初舞台だという吹石一恵高畑淳子路線を狙える気がする。