ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ベッジ・パードン」

日本/'12年公演/シス・カンパニー(三谷幸喜作・演出)


ロンドン留学中の夏目漱石が慣れない生活に困惑する姿を描く。三谷幸喜生誕50周年祭の一作です。
ナヨナヨした夏目漱石。まあ別に夏目漱石でなくても良かった気はしますが、まだ海外留学なぞ珍しかった時代の雰囲気はなんとなく伝わりました。近年の三谷脚本らしく笑いよりも人間関係の機微を重視しているのですが、今作はあまり良い出来ではなかったように思います。ロンドンに来る前の夏目がどういう人間だったのかが全くわからず、どうしても気持ちが入り込めないのです。大泉洋にユーモアがないという設定は無理があるし。ところで最後の扇子は「センスがある」というネタですか。
外国人の顔がみんな同じに見えるというあるある体験を、演劇という手法を最大限に活かして一人何役で表現した点は非常に面白かったです。浅野和之という器用な俳優がいたからこそ。