「蛮幽鬼」

日本／'０９年公演／劇団☆新感線(中島かずき作、いのうえひでのり演出)

異国で同胞に親友殺しの濡れ衣を着せられ、復讐の鬼と化した男の物語。
復讐は復讐を呼び、その先には何も無い。ま、よくあるお話ですわね。鬼になりきれない只の男に何を思えと言うのでしょう。運命に踊らされたと哀れむか、人の心が残っていたことに同情するか。どうせなら殺し屋サジが主役の方がよかったです。その方がまだ感じ入るところがあるのに。殺人マシンのような男が主人公より人間味が感じられるのはどうかと。色々あっけなくて肩透かしでした。
この劇団の面白いところは劇団員が要所にもサブにも回るところ。劇団力、とでもいうのかしら。客演の上川隆也も堺雅人も稲森いずみも早乙女太一もそれほどピンと来ない、というのが逆に申し訳ない。右近健一の大王がステキでした。