日本/’11年公演/虚構の劇団(鴻上尚史作・演出)
トラウマに復讐しようとする地下組織のリーダーの身代わりとしてパラレルワールドに連れてこられた男の物語。
暴力に対する暴力を推奨する集団はカルト性をはらみ、受けた被害は加害としてブーメランのように戻ってくる。同意なき性行為や若年層のいじめに苦しむ人々と、容赦のない世間の風と対峙し、主人公はまずは向き合うことからはじめようとする。小さな一歩が大切なことはわかるのですが、もうひとつの世界を単なる疑似体験で済ませてしまうのは無責任だとも感じました。
旗揚げ作品から順を追って一気観していると、同じキャラクターが作品を超えて登場していることも相まって、劇団員もまた「虚構の劇団」という長い演劇作品の登場人物に思えてくる。