ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「電車は血で走る」

日本/'08年公演/劇団鹿殺し(丸尾丸一郎作、菜月チョビ演出)


前衛芝居に明け暮れる工務店の職人たちと幼少期を共に過した少女との魂の交流を描く。ファン投票により今年再演が決まった人気作です。
円形舞台を線路に見立てるという、劇場を活かした設定がまず良し。電車は乗客の命と彼らの夢を運ぶ。しかるにこの芝居において電車は"人間"そのものだとでも言うかのような。タイトルからして血で走る電車、それは人間。そんな肝心の電車を死人の楽隊の行進にしたことで更にその意味合いは強まり、不協和音になりそうなポップさと哀しさとが生音によって見事に芝居にマッチしてます。泥臭さが少なく洗練されているように感じました。
『ベルゼブブ兄弟』でも思いましたが、今奈良孝行の存在感とその声。劇団員がかすんでしまいます。山岸門人の2枚目役は声的に合わない。坂本けこ美が素直にかわいかったです。