ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

アニメ「崖の上のポニョ」

崖の上のポニョ [DVD]
日本/公開中/宮崎駿監督


人間になりたいと思った魚の子と人間の男の子、そして彼らを取り巻く家族たちの物語。宮崎駿の『ハウル〜』以来となる長編監督作です。ジブリの新作となるとつい辛口長文になってしまいます。
大きな感想はこうです。「開始1時間ちょいはホンモノ」。ぶっちゃけかつての宮崎駿が再来したかと思えるほど惹き込まれました。宮崎駿の作家性がハッキリ表れているし、人物も魅力的に描けてます。今のジブリのレベルを維持してかつ"原点に戻る"ことが成功しているように思えました。ただ。そう、ただその後からラストまではいただけない。伏線のハズが最後まで触れられてなかったり、それでいいの?と思ったり。映画の中に盛り上がりがなく、しかも無理矢理に2時間枠に収めるがためかの呆気ないラスト。宮崎駿は短編を撮る感覚のまま長編を撮ってしまったのでしょうか。あのラストをハッピーエンドとは僕は認めない!
内容としては子供の交流というよりかは家族、特に母と子の関係がテーマだったと思いました。最近の宣伝もそっちの方向性で売ってるとか。母親リサが素敵。ただポニョ側の家族は必要があったのかしら。彼らがこの映画を謎な方へ傾かせている原因です。宗介の家族を中心に描いた方がスマートでよかったのでは。あと老人ホームの老人たちの必要性も疑問。最初の段階では老人と子供というテーマもあったのに段々親子というテーマに絞られてしまい、うまく物語に絡ませられなかったというところでしょう。行き当たりばったりで作品を作る宮崎駿らしいというか何というか。
声。所ジョージの下手さがズバ抜けてました。ジブリ史上稀に見る下手さではないでしょうか。子供の声の子供、違和感はないけど抑揚が少なくタルいです。たまに入る棒読みも気になりました。ポニョはありですが。そして山口智子はうまかった。