ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ジュリア」

米/'77年製作/フレッド・ジンネマン監督


ナチス全盛の時代に反対勢力として闘った女性と、親友にして彼女に憧れを抱く女性劇作家。時代の波に翻弄される女性の心の動きを描き出した秀作。実在のアメリカの劇作家リリアン・ヘルマン回顧録を映画化したもので、劇中に出てくる断筆した有名作家というのは、「マルタの鷹」等で有名なハードボイルド作家ダシェル・ハメットのことだそうです。彼を演じたジェイソン・ロバーズは、ジュリアを演じたヴァネッサ・レッドグレーヴと共にアカデミー助演賞を受賞しています。
現在のリリーとジュリアとの関係が薄いけれど暗いベールに包まれている中で、リリーとダシェルとのプラトニックささえ感じさせる生活の描写とジュリアとの想い出の回想シーンの美しさが際立っていました。そして主人公を支えるジュリアとダシェルの圧倒的な包容力といったら。ダシェルと座る波打ち際やキャンプの森、ジュリアとのハイキングの山。自然の持つ包容力が、更に彼女らの包容力を引き立てているのですね。
メリル・ストリープがちょい役で出てます。若い。けど、変わらない。目を引く何かをもってるのは、やっぱり凄い。