ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

私たちは何も知らない

日本/’19年公演/二兎社(永井愛作・演出)


世の婦人が立ち上がるきっかけとなった雑誌「青鞜」をつくった人々の群像劇。
教科書では一文で終わる出来事にも背景がある。「平塚らいてふ」という単語に血が通い、共に歩みまたは袂を別った人々と闊達に議論しては悩む姿に、現代の人間が共感する意義は大きい。だからこそ、ボロボロになるまで駆け抜けた彼女らを若さ故と矮小化するような「青春群像劇」という公式コピーには首をひねります。力強く、骨太に描く永井愛の筆は常に厳しく、優しい。それだけでいい。
朝倉あきによる平塚像は新鮮で衝撃。