ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「鷗外の怪談」

日本/'14年公演/二兎社(永井愛作・演出)


大逆事件を通じて政府要職者と作家の狭間に悩む森鷗外の葛藤を描く。芸術選奨受賞作です。
軍人のトップに上り詰め、政府を背負う立場となった鷗外は、共産主義を容認することができない。けれども作家としては、言論や思想の自由を守りたい。幸徳秋水らの大逆事件のおり、時に弁護士側の相談に乗り、時に嫁姑問題に翻弄され、時に雑誌で筆を滑らせ謝るの謝らないの、人間臭さ満載の弱い鷗外像は新鮮でした。
金田明夫の強弱併せ持つ姿。