ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

引き波に乗る蜘蛛

日本/公演終了(ソワレ)/劇団飛び道具(大内卓作・演出)


演劇と仕事と家庭に追われる遅筆の劇作家が書き上げた一本の作品とその過程を描く。京都の劇団、初観劇です。
セミプロとして活動する多くの演劇関係者は、もちろん生活者でもある。才能がなくても演劇をしていることで辛うじて自分を保っていた男は、周囲のものごとのすべてが他人事としか感じられず、取り返しのつかない事件を呼び起こしてしまう。他人が己を形成していることを理解できないまま、思うように作品がつくれず、直感的に生きる動物に憧れるだけの男。新人団員の才能に嫉妬する部分は視点がぶれてしまい、蛇足だったかも。