ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「二等兵物語」

日本/'99年公演/つかこうへい事務所(つかこうへい作・演出)


太平洋戦争時の満州における若い日本兵の思いを従軍慰安婦との関係を軸に描く。元々別の演目だったのが紆余曲折を経て、東京都北区が主宰した地域劇団「★☆北区つかこうへい劇団」の劇団員中心で行われた公演だそうです。
一般市民が戦争という極限状況下で「女を犯す」という行為に優越感と後悔とを合わせ持つ。きっと眉をしかめる方々もいるだろうこの内容。戦争だからというのが理由にならないのはよく分かりながらも、狂わないと立ち直れないというのも真理なんだと思います。しかしあったなかったの水掛け論やら感情論やらより、氷山の一角に過ぎなくても肉体的な息遣いが感じられるこの芝居の方がリアリティを携え確実に心に届くものがある。少なくとも恥ずかしくなるくらい純粋な若者たちが居たことだけは覚えていたいです。
主役・酒井晴江はこの年に引退。小隊長役の鈴木祐二のイケメンっぷりに惚れる。