ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「小指の思い出」

日本/'86年公演(再演)/夢の遊眠社(野田秀樹作・演出)


野田秀樹率いる劇団「夢の遊眠社」第31回公演。'83年の舞台の再演です。
毎度のことながら理解不能。でもいいんです。雰囲気を楽しむのが遊眠社。入り乱れる人々に、くるくる代わる場面場面。言葉遊びも軽やかに、浪々と詠いあげられる言葉の応酬。台詞の波に思考をゆだね、鋭く激しく、それでいてゆったりと。野田ワールドという無限に広がる海をぷかりと漂う心地よさ。
ただ、最後に突然置いてけぼりをくったような。あるいは突き放されたような。ピンとくる形容が浮かばなくて歯がゆいのですが、そんな後味の、決してよくはない、印象の残った芝居でした。とは言っても面白かったのですが。
出演者。野田秀樹が主役の上杉祥三を完全に喰ってます。本当にもう、声はよく通るし、いちいち面白いし。反則です。でもそんな中で段田安則の存在感は光ってました、流石。