ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「クラッシュ」

クラッシュ [DVD]
米/'05年製作/ポール・ハギス監督


"人種のサラダボウル"とまで言われるアメリカ、だが差別も根強い。そんなアメリカの大都市ロサンゼルスを舞台に、そこで暮らす様々な人種の人たちの苦難を描きつつも、こういうと陳腐に聞こえますが「愛することの素晴らしさ」を丁寧に描いた作品。『ミリオンダラー・ベイビー』(未見)の脚本を書いたポール・ハギスの初監督作品で、大穴だったもののアカデミー賞作品賞他三冠をはじめ、数々の賞をさらった話題作です。
特定の主役を置かず、いくつかの人々の話をそれぞれ独立させて描きながら、ときどきそれらが絡み合って、悲しい物語になったり心温まる物語になったり。流石は脚本家出身の監督である練られた脚本となっています。そんな脚本に魅せられて、ドン・チードルサンドラ・ブロックマット・ディロンら豪華俳優らが出演を熱望したそうで。味のあるステキな演技を見せてくれています。
いくらひどい差別意識を持っている人でも、肉親や配偶者など大切な人に対する愛は深いんですね。それが少しでも他人にも向けられれば差別なんてなくなるのに。でも、人種差別に嫌悪感を示していた若い警官のラスト近くの行動が、それは難しいということを語っているようで、あのエピソードはかなりショックでした。
観終わった後に心がホッと温まる映画でした。最近の映画には珍しく2時間ないのもいい。