ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ムサシ ロンドン・NYバージョン」

日本/'10年(再演)/ホリプロ(井上ひさし作、蜷川幸雄演出)


巌流島の戦いから6年、鎌倉の禅寺で再開した宮本武蔵佐々木小次郎が再度剣を交えようとする。
誰もが知る剣客の姿を通して、恨みの連鎖と人を殺すこととは何かを問う。作品自体は盛り上がりが多いわけではなく、能を意識した語り口も合わさり、ダラダラと長い印象でした。ただ、チャップリンの『独裁者』みたく、井上ひさし一流のメッセージが込められているのは確か。同じ井上戯曲である傑作『頭痛肩こり樋口一葉』と被るシーンもあり、比べてしまうとやはり不満は残りますが、海外に持っていける作品があるというのは頼もしい。
藤原竜也勝地涼。初演の小栗旬のプレッシャーは大きかったことだろうと推察。吉田鋼太郎白石加代子の大御所が楽しそう。