ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「無差別」


日本/公演中/柿喰う客(中屋敷法仁作・演出)


太平洋戦争前後の日本のとある村で育てられた呪われし一族を軸に、生きることの意味を問う群像劇。劇団「柿喰う客」のフルメンバーによる最新作です。
いのちは無差別なのか。重いテーマのなか、僕が中屋敷の脚本を好きではなかったことを否応にも思い出しました。どす黒い感情が舞台の底から滲み出、溢れ出、天に向かってそびえ立つ装置を伝いながら上に上にと昇っていく、その逞しいおぞましさと泥臭い美しさ。コンテンポラリーダンスを取り入れ、演者が言うには「スピリチュアルな作品」とのこと。時代背景は無い方が変に思想が混ざらずより直感的に観れたのにと残念に思います。
主たる所属役者が2人退団した後初めての本公演。抜けた穴は予想以上に大きかったと言わざるをえません。よく動ける役者陣なのに演技も視覚的にも個性の振れ幅が狭まり、みんな同じ型にみえてしまって勿体ない。でも「柿喰う客」ならば今後どうにかしてくれるという期待は残ります。