ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「非実在少女のるてちゃん」


日本/公演中(再々演)/笑の内閣(高間響作・演出)


東京都で2010年に条例化され「表現の自由」について大きな論争を巻き起こした「青少年健全育成条例」の成立過程をめぐり、漫画やアニメを守るために派遣された魔法少女のるてと反対派、賛成派それぞれの思いと思惑を描く。2010年に京都で初演され、東京では上演拒否までくらったという問題作兼代表作の再々演です。京都の劇団「笑の内閣」は初観劇。
ギャグも風刺もパロディも、もちろん主張も満載。徹底したチープさが印象的でした。主義主張は反対目線のみ、かつ目新しさもなく、パロディも既に使い古されたものばかり。しかし、それがこの作品においてはマイナス要素に働かない不思議。演劇というメディアから発信したことの意義はあまり感じられなかったのが残念ですが、やらないよりかは「やった」ことが大事ですよね。ただ素材自体が純然たるコメディならば調理は控えめにした方が良い。
のるてちゃんよりも条例制定の教師が主役なのですね。教育論を語る場面に子供がいないのは皮肉であるのと同時に、この問題の核心をもついている気がします。