ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「市民ケーン」

市民ケーン [DVD]
米/'41年製作/オーソン・ウェルズ監督


天才オーソン・ウェルズが自ら製作・脚本・監督・主演をつとめた、ある大富豪の生涯を描いた物語。詳しいことは知りませんが、当時アメリカには新聞王ハーストと呼ばれた人物がいて、ウェルズは彼をモデルにこの映画を作ったところ大激怒されたとか。
なんともテンポの感じられないのと盛り上がりに欠ける展開に、睡魔が襲いうつらうつらしながら観てました。『第三の男』はおもしろかったんだけどなぁ。話の中心となる、大富豪が死ぬ間際に言い残した言葉「バラのつぼみ」の謎も、筋は通ってるんですがなんだかはぐらかされた感がありぃの。
この映画の主人公であるケーンに悪気は全くなく、ただ自分に正直でいたかっただけだったんでしょうね。そのために駆け引きというものができずに、民衆の支持は消え、妻には逃げられ、最期は孤独に死んでいった。二番目の妻に別れを告げられたときのケーンの表情と行動に表された孤独感は、忘れられません。二束三文の彫刻をあんなに集めていたのも孤独から逃れるためだったのかも。