髑髏城の七人 Season花
日本/’17年上演/TBS(中島かずき作、いのうえひでのり演出)
信長亡き後、荒野の関東で第六天魔王を名乗る男の暴走をとめるべく立ち上がる7人の姿を描く。劇団☆新感線が7年に一度上演する人気作の劇場こけら落とし連続シリーズ第一弾です。
前作から6年しか経っていないのに上演が決まったのは解せないけれど、360度シアターという特殊な構造(映像では体感できませんでしたが)を使いこなし、かつオープニングに相応しい作品となれば仕方ない。全体的に冗長で、なのにダイジェスト版を観ているかのような繋がらない感情を追うのは少ししんどかったです。とはいえ要所はおさえていて、エンターテインメントとしては紛れもなく一級品。
年をまたいで鳥・風・月(上限・下弦)・極とキャストを変えて続く一発目は前作から引き続きの小栗旬と、成河、山本耕史、清野菜名、青木崇高、りょうの布陣。
東京オリンピック
日本/’65年製作/市川崑総監督
日本で初めて開かれた64年のオリンピックの記録映画。市川崑、和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎の共同脚本によるドキュメンタリーです。
一歩間違えれば国粋映画になってしまうものを、文芸に踏みとどまったその作家性たるや。公開当時から批判が大きかったようですが、「スポーツと文化の祭典」であるオリンピックの「文化」面をしっかり担ったといえます。既存の建物の破壊からはじまる映像は、一連の狂騒を平和の夢と断じ、どう現実にしていくのか問いて終わる。願わくば2021年に開催を予定する東京大会の記録映画がこの映画の先にありますよう。
選手、運営、観客たちすべてが等しく登場人物でした。
殺意 ストリップショウ
日本/’20年公演/世田谷パブリックシアター(三好十郎作、栗山民也演出)
ひとりのストリップダンサーが自らの引退公演にて波乱の半生を語る。近年再評価の進む三好十郎による70年前の戯曲上演です。
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう現代日本において、7月に観客を入れての上演を行った気骨精神は、三好作品の上演になんとも相応しい。劇場主催公演であったことや一人芝居なので客席との距離が取りやすいことなど条件が重なったのでしょうが、劇場の灯はこうして守られていく。作品は、第二次大戦を境に尊敬し愛した男に失望し殺意を覚える女を通じて、その感覚が特殊なものではなく誰にでもあるものだと書く。
体当たりな演技の鈴木杏。