ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

グッド・バイ

日本/上演中(再演)/地点(三浦基作・演出)


太宰治の遺作となった未完成の小説を「地点」が上演した作品です。
横一列のバーカウンターに大正・昭和初期の衣装をまとった役者がずらりと並び、壁の上では「空間現代」が生演奏する空間構成。登場人物は「グッド・バイ」の台詞だけでなく太宰の分身としてもそこに存在し、酒に溺れてくだをまきながらさまざまなものに訣別をする。変拍子にのせて度々発声される「グッ」「ド」「バァイ」の重なりが退廃的だが高揚感もあり、文字通り酔いしれることのできる観劇体験でした。
いつもどおり役者の声がフル活用されるも、もはや演技というより空間現代とのセッションに近い。至福。