ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「めぐりあう時間たち」

めぐりあう時間たち(字幕版)
米/'02年製作/スティーヴン・ダルドリー監督


3つの時代に生きる女たちの1日を描く。ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』をモチーフとした作品です。
「死」と隣り合わせの登場人物たち。それぞれの心情が少ない台詞のなかで饒舌に語られていくその妙。美しい映像に酔いながらも、言葉で説明できない漠然とした不安や疎外感に、銀幕の外で観ているこちらまで息苦しさを覚えます。原案の小説を読んでいたらさらに違う、深い印象も得られたかと思うと悔いが残る文学映画でした。
ウルフを演じるニコール・キッドマン、その小説を愛読するジュリアン・ムーア、小説の登場人物のあだ名をつけられたメリル・ストリープ