ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「パットン大戦車軍団」

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米/'70年製作/フランクリン・J・シャフナー監督


第二次世界大戦のさ中、歴史に学ぶ独自の天才的な戦術を用いて米陸軍を率いるも、政治に関心がなく周囲に配慮しない言動によって自分で自分の首を絞めてしまう、純粋な戦争屋にして"偉大な時代遅れ"、パットン将軍の半生を描く。アカデミー最優秀作品賞他、監督賞及び主演男優賞の主要部門で三冠に輝きました。そんな中、この映画で最も有名なエピソードは、主演ジョージ・C・スコットのアカデミー賞受賞に関してのこと*1でしょう。
3時間近い大作ながら、物語に、もしくはパットン将軍の人間性に惹き込まれ、長さを全く感じさせない良作でした。それほどまでにジョージ・C・スコットの演技は凄い。知的で名誉欲が強く自分に絶対の自身があり、とにかく「戦争第一」な将軍の喜怒哀楽をそれは見事に表現しています。理不尽な迷惑をこうむりそうで上司にはしたくないけど、生徒会長がこういう人なら学校生活は面白いだろうなと思う人柄、例えがわかりづらい。友人の将軍の人(カール・マルデン)も地味ながらいい味を出してました。
途中の台詞や最後の風車のショットからわかるように、監督は将軍とドン・キ・ホーテをダブらせて描いているのが感じ取れます。自分の信念のもとに巨大な「政治」に立ち向かう愚かな戦士ってところでしょうか。戦争を「英雄行為」とみなしている感もありますが、ただの「戦争映画」で終わっていないところが良い。

*1:'70年のアカデミー賞授賞式。役者に優劣をつけることに常々異議を唱えていたジョージ・C・スコットが、この作品でオスカー候補に上りながらも、彼の意思から受賞を拒否、もちろん式にも出席せず。それにもかかわらず彼の素晴らしすぎる演技のため、アカデミー協会はその功績を称え、拒否を承知でオスカーを贈った、というエピソード。