ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「轟音、つぶやくよううたう、うたう彼女は」


日本/公演中/空宙空地(関戸哲也作・演出)


流され続ける人生をおくる親子2世代の心の交流を描く。短編『ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常』および回替わり前座ステージ『割り勘』の3本立てでした。
短編向きの作家の強みを活かし、良い意味で長編という感じを出さないつくりで、魅力的な小品というところ。飛ぶように過ぎていく時間を演劇的にみせることでしっかりと共感を覚えさせる。毎日同じことを繰り返しているだけにみえる両親に反感をもっていた娘も、知らないうちに同じ道を歩んでいる。短編もテーマは同じで、自分に置き換えながら、そういう日常の積み重ねが幸せなんだと再確認できる作品でした。
一人芝居で全国で知名度をあげているおぐりまさこという女優の主宰団体であるにも関わらず、これまで出演が少なかったのが不満な点だったのですが、今作では演出まで関戸が手がけることで、おぐりの演技をたっぷり楽しめて満足。