ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「桐島、部活やめるってよ」

桐島、部活やめるってよ
日本/'02年製作/吉田大八監督


ある男子高校生が部活をやめるという噂話を軸に描かれる群像劇。朝井リョウの同名小説の映画化です。
あまりに前評判が高かったので逆に躊躇していたのですが、確かに面白い。原作より断然好きです。タイトルロールにもなっている桐島は一度も登場しない、というのがこの作品のミソ。学校という狭い世界に実体のあるものなんてほとんどないんじゃないかと思っていた自分にとって、大きな共感を覚えました。情報社会のなかで「情報にアクセスできないこと」への恐怖、というのもあるのかもしれません。
登場人物にリアルという意味での存在感が乏しいのが、単なる青春モノに堕ちない冷めた視点とあいまって良し。