ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

アニメ「かぐや姫の物語」

日本/'13年製作/高畑勲監督


竹から生まれた少女が月へと帰っていく竹取物語をSTUDIO GHIBLIが誇る巨匠・高畑勲が丁寧に描く。14年振りの監督作だとか。
「アニメ日本昔話」を最高峰のクオリティで仕上げた作品。筋は誰もが知っているので、見るべきはどれだけのものを提示してくるのかという一点につきます。そして高畑はそれに応えました。映画として流れる映像を楽しむというよりも、絵巻物を眺めていく感じ。これは文芸映画なのですね。予告にも使われていた全力疾走シーンは何度観ても鳥肌が立ちます。
地球の生活に絶望して月に帰りたいと望んでしまったかぐや姫が、生命のかがやきに気づき直す。たとえそれが遅すぎたとしても、すべてを忘れてしまっても、彼女は心の奥でうっすらとその光を感じ続けるのだと思います。それが「生」であると受け止めました。それにしてもすべての登場人物の気持ちがよくわかる。