ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「深夜の告白」

深夜の告白 [DVD]
米/'44年製作/ビリー・ワイルダー監督


保険の営業マンが魔性の女のために保険金詐欺を企み、友人で切れ者の保険調査員を出し抜こうとする姿を描く。なんと脚色に作家レイモンド・チャンドラーも名を連ねているようで。
これはミステリーでもありサスペンスでもあるが、何より一級の恋愛映画だと思うのです。真意が読めない女に寄ったり離れたりする主人公の気持ちの流れが巧みすぎて、たった2時間弱の中で描いたとは思えません。最後に自分の愛のため他人の恋の応援に回るシーンなんて、見事に予想を裏切ってくれました。ビリー・ワイルダーの手にかかれば感情さえも小道具のように活用できちゃうんですね。
また素晴らしい友情の映画でもあります。フレッド・マクマレイとエドワード・G・ロビンソンの、互いの能力を尊敬し合う二人に憧れます。