ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ROMANCE」

日本/'96年製作/維新派(松本雄吉作・演出)


戦時中の蒸気工場のある街で映画学校に通う少年たちが卒業製作で映画を撮影する姿を描く。大規模野外劇団「維新派」のヂャンヂャン☆オペラ時代の作品です。劇中映画の監督を林海象、主題歌を憂歌団木村充揮が担当しています。
画面からはみ出そうな圧倒的な舞台装置。スチームが吹き出るくすんだ街の中をモノクロな人間達が歩き回る。その中の映画のヒロインの赤い服のなんと色鮮やかなことでしょう。戦争一色の彼らにとっての唯一の「色」であり「ROMANCE」であったということか。戦争孤児たちが敵国の少年をかくまい一緒に映画を撮りつつ家族の待つ街の向こう側へ逃がしてやる、しかしハッピーエンドにならないのが戦争の悲惨さ。前半眠かったけれど、これはナマで観なくてはダメな作品だと思います。
言葉が奇妙な節回しで語られる維新派独特のヂャンヂャン☆オペラ。日本語なのに日本語じゃないように感じる不思議。