ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「それでもボクはやってない」

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]
日本/'06年製作/周防正行監督


痴漢事件の犯人に間違われた男が裁判で冤罪を訴える姿を通して、日本の裁判の現状を描き出す問題作。周防監督の11年振りの新作で、その年の映画賞を総なめにした作品です。
こればかりはいつ自分事になるかわからない。痴漢事件の有罪判決の確率は99.9パーセントであること、裁判官が組織の一員に過ぎないこと、「疑わしきは被告人の利益に」という鉄則が一般人には周知されにくいこと。様々な問題点が浮かび上がりますが、それについて考えるのは僕たちの義務であり権利である、ということが最重要なのだと思います。あと痴漢冤罪と聞くと龍谷大生の計画冤罪事件を思い出し、これまた一筋縄ではいかないなあとも思うのです。
加瀬亮の一般人ぽさがこの映画の良作たる部分。ワキも、観たことある顔の俳優がちゃんと市井の人々を演じており、つまり名優ばかり。