ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「卅三間堂棟由来」

日本/公演中/国立文楽劇場新春文楽公演(若竹笛躬・中邑阿契作)


正体が柳の精である女房が、その柳が伐られてしまうことから家族とお別れをする。浄瑠璃祇園女御九重錦(ぎおんにょうごここのえにしき)」の三段目だけを上演する場合の別外題だそうで、"さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい"と読みます。文楽は初観劇。
演技は人形がして、台詞はただ一人の人間が舞台横から全員分謳いあげる。あまりに特異な形態なので非常に興味深く観ました。現代の感覚からすると、遅々として物語が進まないのが一番つらいところ。テンポがあがればもっととっつきやすく面白いと思うのです。いまだとストーリーは別個にあらすじでぼってくしかないですし。仕掛け舞台はなかなか、でも今の技術ならばもっといろいろできるのに。とただ単純に勿体ないと感じました。面白い演劇の一種なんですけどねえ。
お柳の細かな仕草に生命を感じ取り、ときどきビクッとなります。あれが人間国宝吉田文雀の力か。大木をひっぱる若衆の上から2人目の人も巧かった。