ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

アニメ「河童のクゥと夏休み」

河童のクゥと夏休み 【通常版】 [DVD]
日本/'07年製作/原恵一監督


男の子に偶然拾われた河童が人間と暮らすひと夏を描く。「クレヨンしんちゃん」の映画シリーズで脚光を浴びた原恵一が満を持しておくる長編ファミリーアニメ映画です。
風景のクオリティが高いのは最近のアニメでは驚かなくなったけれど、原映画の魅力はそこだけじゃない。登場人物の些細な言動にまで目を配る演出がすばらしい。子供たちはもとより、普段帰ってこないのに面白そうだと急いで帰宅する父親、愚痴をこぼすも結局クゥの世話をするはめになる母親など小さなリアリティが随所に光っていて映画を引き締めています。"河童"という非現実な生き物が混じってもビクともしないリアルさがそこにあります。
しかし取って付けたようないじめやマスコミ描写はどうなのかしら。社会問題にも踏み込んでおかなくちゃ評価が下がるとでも思ったのか。それにしてもあまりに薄っぺらくて残念でした。『トトロ』を目指せばいいのに『ぽんぽこ』に傾き失敗している、そんな感じがしました。