ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

突破口!

突破口! [DVD]
米/’73年製作/ドン・シーゲル監督


片田舎の銀行を狙う強盗集団が裏の金を偶然に手にしたことで警察とマフィアに追われる。
自営業のような勤勉さで強盗稼業にいそしむ主人公をどのポジションから観ればいいのか少し戸惑いつつ、でも物語が進むにつれて自然とわかってくるのは巧い。さくっと最愛の妻が死んでしまう冒頭とそこからの波乱の展開はミステリー小説さながらの練り具合で見応えありです。スカッとするようでなんか重たい、複雑な観後感でした。
ウォルター・マッソーはいつ見ても浦沢直樹の漫画に出てくるキャラクターにしかみえない。

劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(通常版) [DVD]
日本/’20年製作/外崎春雄監督


鬼が出ると噂される列車に乗り込んだ鬼殺隊の面々が死闘を繰り広げる。漫画を原作とし、歴代興行収入を塗り替えた記念碑的なアニメーション映画です。
原作未履修(実際には漫画の第1巻だけ読んでいます)で、よくわからないところは多々ありましたが、思いのほか楽しく観ることができ、評価された理由はちゃんと作品にあるんだと納得しました。列車の敵を倒した後の展開はきっと筋を追うためには必要なんだろうけど、作品としては蛇足でした。が、きっとそのような視点で観ている人はいないでしょう。
主人公の声に花江夏樹

3人のゴースト

3人のゴースト [DVD]
米/’88年製作/リチャード・ドナー監督


テレビ局の一大プロジェクトを仕掛ける傲慢な社長が3人のゴーストにより己を見つめ直す。
ディケンズのクリスマスキャロルの生放送ドラマを製作しながら、自身も同じ目に合う入れ子構造のストーリー。ラストシーンは何が何やらだし、全体的に古めかしいアメリカンコメディではあるものの、とりあえずおおらかで良し。この映画を観て「そうだ生き方は変えられるんだ、クリスマス万歳!」となる人がいたら見てみたいものだけれど。
ビル・マーレイだから耐えられたようなもの。

台風クラブ

台風クラブ
日本/’85年製作/相米慎二監督


台風が近づく中学校で、生徒たちの胸がざわめく一夜を描く。
時代性と普遍性が織り交ざっていて、そりゃ公開当時はカルト的人気を得るだろうなと納得。思春期特有の閉塞感を物理的にも精神的にも描ききり、「自分はなにかしら特別な存在のはず」と思っている人に突き刺さる(または抉る)一方で、「特別な存在は自分とは別のやつ」と思うタイプは観ていてしんどいかもしれません。
三上祐一と工藤夕貴。彼らを通り過ぎた三浦友和の存在感たるや。

最高の人生の見つけ方

最高の人生の見つけ方 (字幕版)
米/’07年製作/ロブ・ライナー監督


余命半年で巡り合った2人がやり残したことをやるなかで最高の人生を見つけていく。
良く出来た、言い換えれば出来過ぎたストーリーで一歩間違えれば陳腐になってしまうところを、最高の役者2人を揃えたことでリアルとファンタジーが絶妙なバランスを保ちながら走り切る。身勝手な言い分も多いけれど、最期くらい身勝手でいさせてあげたいし、ハメを外すなら振り切ってしまった方がいいんだなと変なところで納得しました。
名優ジャック・ニコルソンと名優モーガン・フリーマン