ペイルライダー
米/’85年製作/クリント・イーストウッド監督
金鉱を巡り対立する西部のまちに流れ着いたガンマンの牧師が因縁の相手と対決する。
アメリカの時代劇たる西部劇らしく単純明快でオーソドックスな物語。寡黙で、強く、女にもてて、弱き者に優しい男が、スーパーマン的に敵をバッタバッタと倒していく姿に観る側も夢を託したのでしょう。主人公の過去がどんなだったのか劇中で語られませんが、そういう触れがちな無駄をバッサリ切って観やすくする脚本の巧さ。
誰もが惚れるイーストウッド。
シックス・センス
米/’99年製作/M・ナイト・シャマラン監督
見えないものが見える少年と小児精神科医とが心を通い合わせていく。
幼い頃は今よりもいわゆる「第六感」が研ぎ澄まされていた気がします。それは霊感だけではなく、何かを感じとる力とでも言うのでしょうか。そんな誰にでも身に覚えのあるかつてのザラリとした感覚を見事に物語に昇華した作品。すべての伏線が一気に解消されるラスト、これだけ有名な映画ながら前知識なく観ることができたのは本当によかった。
マッチョじゃないブルース・ウィルスと、絶大な人気を博したハーレイ・ジョエル・オスメント。
チャイナタウン
米/’74年製作/ロマン・ポランスキー監督
水不足に悩むかつてのロサンゼルスを舞台に、私立探偵が陰謀に巻き込まれる。
金と欲が死体を生むサスペンスと、小気味よいユーモアによる正統派ハードボイルド映画。そこかしこに出てくる「チャイナタウン」という単語に潜む気配にピンとこないと色々とすんなり入ってこないけれど、それでもノワールの香り漂う雰囲気に酔う。筋が2本あることに気づくまでは追うのが大変な脚本はアカデミー賞を受賞しています。
ふてぶてしいジャック・ニコルソン、それよりもふてぶてしいジョン・ヒューストン。
ナチュラル・ボーン・キラーズ
米/'94年製作/オリヴァー・ストーン監督
生まれついての人殺しのカップルが、運命に従い愛と殺人に突き進むロードムービー。
無名時代のクエンティン・タランティーノの脚本を原案としたバイオレンス映画で、公開時は上映禁止が相次いだとか。センセーショナルな暴力的な表現よりも、めまぐるしく挿入されるイメージカットと、痛烈な社会批判・マスコミ批判のインパクトが勝るエネルギーに圧倒されました。胸糞悪くも最高にハイになれる嗜好品のような作品です。
ウディ・ハレルソンとジュリエット・ルイスの殺人狂よりも、記者役のロバート・ダウニーJr.の狂気。