ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「おとうと」

あの頃映画 松竹DVDコレクション おとうと
日本/'10年製作/山田洋次監督


町の薬局で働く未亡人のもとにひょっこり現れる自由奔放で厄介者扱いの弟の最期を描く。
言いたいこと書きたいことは多々ありますが、それよりなによりもう、ずるいです。ボロ泣きしました。みじめさとか悲しさとかではなく、すごく優しく温かい感情からの涙というのは心地よい。若くして夫を亡くした女、夫方の母親、バツイチの娘という、男が排除された空間に突如あらわれる異質の男。しかも人生の節目節目にあらわれる、まるであらわれるのを望んでいるかのように。
笑福亭鶴瓶の少しやりすぎの演技を、吉永小百合がしっかり落ち着かせる。蒼井優も良し。