ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「火星の人と暮らす夏」


日本/公演中/鳥公園(西尾佳織作・演出)


老女が語る半生。多摩の野外フェス、商店街での上演を経た50分ほどの小品です。初観劇。
2人芝居なのですが、女ひとりの妄想の話なのかもしれません。家族に、仕事に、恋に傷ついた過去を、現在と混濁させながら表出させる。「自分の言葉で話してよ」と男に詰め寄る女は、しかし自分も歌謡曲の歌詞に乗せることで茶化してしまう。観ていて胸がざわつくのですが、どこか優しいおとぎ話めいてもいて、残る印象は爽やかだったりします。劇中歌のチョイスが無駄に幅広く特筆。
武井翔子の歌唱力に目を(耳を)奪われつつも、演技の切り替えも巧み。浅井浩介も痒い所に手が届く。