「Dr.パルナサスの鏡」
英・加/'09年製作/テリー・ギリアム監督
幻想を体験できる鏡を使って物語を紡ぎ続ける博士の異質な契約。ヒース・レジャーの急死により完成が危ぶまれながらも驚くべき展開を見せたという意味で当時話題作でした。
テリー・ギリアムの魅惑的な世界がまるでムンムンと香りたつよう。登場人物が記号的な中で娘の肉厚感が際立って目のやり場に困ります。神話を髣髴とさせるシーン・デザインはあまり好みではありませんが、大道芸のような移動式劇場には胸踊る。これは宮崎駿『ハウルの動く城』の城、森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」の電車に匹敵する造形のワクワク感です。
ヒースの代役(!)に助けの手を差し伸べた面々が凄い。ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル。ころころと顔が変わることまで作品に昇華させた監督の腕が更に光る。